Magidorの業績その2

もう一つ、Magidorの結果として有名なのは"identity crisis"と呼ばれている現象。定義は省きますが、可測基数(measurable cardinal)、強コンパクト基数(strongly compact cardinal)、超コンパクト基数(supercompact cardinal)という三つの巨大基数があります。関係としては、

supercompact⇒strongly compact⇒measurable

となります。
通常、大きい巨大基数は小さい巨大基数よりもはるかに大きいことが証明できます。なんか小学生の作文みたいな文ですが。例えば、κがsupercompactのときには、その下にκ個のmeasurable cardinalがあることが言えます。というわけで、最小のmeasurable cardinalはsupercompactにはなりません。
ところが、strongly compact cardinalに関しては以下の二つがともに整合的となります(当然ながら、しかるべき巨大基数公理は必要)。

  1. 最小のstrongly compact cardinalはsupercompact
  2. 最小のmeasurable cardinalはstrongly compact

というわけで、上記の関係を満たす限りでstrongly compact cardinalはいくらでも動けるわけです。この話を執拗に追っかけているのがArthur Apterですね。

この結果も革新的なもので、使われたテクニックは今でも非常に重要です。この二つの業績だけ見てもわかるとおり、今に至るまで重要な技術を確立した人です。