Magidorの業績、その1

えっと、いろいろあってとてもムズムズしているので、ざっとMagidorの業績のうち一つについて書いておきます。Menachem Magidor、1970年代以降の集合論の進歩を語る上で欠かせない人物であり、現在はヘブライ大学のpresidentである。今回取り上げたいのは以下の結果。

Relative to a certain large cardinal assumption, it is consistent that 2^{\aleph_n}=\aleph_{n+1} for all n\lt\omega and 2^{\aleph_\omega}=\aleph_{\omega+2}.

つまり、\aleph_\omegaより小さい基数では一般連続体仮説(GCH)が成り立っているけれども、\aleph_\omegaでそれが崩れるようなモデルが存在するってことです。彼の最初の論文では、supercompactの上にhugeが乗っているモデルかなんかから始めたはずですが、現在ではより弱い仮定からいけることがわかっています。いずれにしても、この類のことができることを最初に示したのがMagidorです。
1970年にはEastonが正則(regular)基数のべきに関しては、monotonicityとKonig's lemma以外にZFC上での制限がないことを示しています。当時はこれが正則でない基数にも拡張できることが予想されていました。ところが、1971年にSilverが、例えば\aleph_{\omega_1}はGCHが最初に崩れるような基数にならないことを証明して、集合論の世界に大きな衝撃を与えました。
Magidorの結果はこの二つの動きの間にあるものということになりますね。\aleph_\omega上の組み合わせ論は未だに興味深い対象ですが、最初にその対象に大きい楔を打ち込んだのが彼でした。この定理の証明はなかなか骨の折れるものですし、幅広い応用があることも知られています。

あうー、なんかいまいちインパクトが伝わらない文章になってしまった。とりあえず、今回はこのままアップしてしまおう。