Good boy, bad boy

Shelahは"good boy, bad boy theorem"という言い方をすることがあるそうです。本人から聞いたことは無く、伝聞ですが。つまりは、「いい性質なり対象なりはどこまでもいいのだけれども、だめなものは徹底的にだめだ」ということらしいです。…もちろん、数学的な意味での定理ではなく、あくまでも彼の数学に対する見方ですが。
普通の人が言うなら単なるお話に過ぎませんが、どうも彼の目からはgood boy, bad boyがかなりはっきり見えているようなんですよね。例として、これも伝聞なうえに誰に関する話だったのかも思い出せないのですが。ある日ある数学者がShelahに「私は○○が××だということを証明しました」と言ったらしいんです。それに対してShelahは開口一番「私はもっと良い定理を証明できる」と返したそうで。その時点ですごいんですが、その次に出た言葉は「ところで○○というのの定義を教えてくれ」だったということで。これもそれだけなら単なるバカなんですが、最終的にきっちりとより良い定理を証明したそうです。
あと、彼を中心とする人たちによるset-theoretic model theoryの結果にも、単純な構造と複雑な構造がきれいに二分できるというものがあり、彼の見方を裏付けています。記述集合論などでもそういう話が多いですよね。
多分、「例がひとつしかない」という話と関係があると思うのですが、上手く書けません。まあ、こういう話がありましたということで。

もっとも、例えばWoodinなんかはShelahとは集合論に対してぜんぜん違った思想を持っているようですし、つまりは自分の見え方があって問題が解けりゃいいんじゃないかと思うわけですが。