実数ってなんや!

学校では教えてくれない数学:位相空間

ニッチな話になってしまうのでコメントにするのをやめて自分のところで。
集合論者がイメージするレベルでの「実数の構造」なんてのを書いていたら、紙一枚じゃ足りないどころの話じゃないです。Woodinのような最高クラスの集合論者が一生かけて研究して、その一部分を書いただけで915ページの本が出来上がる、ってくらいなものです。

The Axiom of Determinacy, Forcing Axioms, and the Nonstationary Ideal (de Gruyter Series in Logic and Its Applications): W. H. Woodin: 9783110157086: Amazon.com: Books

そうした集合論的な実数の微妙な部分が、解析などの分野の問題にも影響を与えてないのかなぁ、っていうことは集合論者なら妄想することかと思いますが。いずれにしても、本気で考え始めたら実数っていうのはやはり怖い対象です。
ある意味それは当たり前ではあります。実数の構造が集合論の宇宙全体にかなり大きい影響を与えているという研究はいくつかあります。十分な巨大基数を仮定すると集合論の宇宙がL(\mathbb{R})の強制法拡大になっているという結果はその代表例でしょう。あとJensenとかが書いていた"Coding the universe"という本の主要な結果もそういう話だったはず(諸々の事情で読み始めたけれども挫折しました…)。
っていうかぶっちゃけた話これだけでも十分かと。何でもいいから(集合を宇宙とするような)構造を考えてみます。レーヴェンハイム=スコーレムを使って可算初等部分モデルを取ってきます。実数はωの部分集合をコードできるので、この可算初等部分モデルをコードすることが出来ます。というわけで、集合論の宇宙に存在するありとあらゆる構造が実数の中に反映されているわけです。

とか熱く語り始めると、みんなに気持ち悪がられるので気をつけましょう。