id:aurelianoさんの他の記事がさらにひどい件について

初めに言っておくと、私はid:aurelianoさんの科学が絡まない記事は割りと好きでして、http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20080620/1213933128とかhttp://d.hatena.ne.jp/aureliano/20080726/1217073495は良かったなぁと思います。
それだけに、よく知らないことに手を出してやけどしなくても良いのではないかと思うのですが。

本題。「ゲーデルの不完全性定理は世界は矛盾していることを証明している。」だとぉ! - くるるの数学ノートではもうすこしましな理解をしていることを前提にして書いていました。あそこでは、ゲーデルの不完全定理そのものについては言及しておらず、「ゲーデルがこの定理にこめた隠された本質を俺は理解しているのだ」という構造になっていたので*1不完全性定理そのものは普通に誤解している程度かなと思っていたのですが。

http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20080507/1210087645

ゲーデルが証明した不完全性定理というのがある。その詳細は、難しくてぼくもよく理解できないのだけれど、すごく簡単に解釈すると、「何かを証明しようとする時、そこに矛盾が現れることを防げないから、この世の全ての証明は不完全にならざるを得ない」というもの。つまりゲーデルは、数学(あるいは証明)は不完全なものであるということを、数学的に完全に証明してみせたわけだ。

どこからツッコミを入れていいのかわからない、という言葉を初めて使いたくなりました。とにかく全然違うので、これを信用してしまった不幸な方は、(GEBのようなものではなく、より正確さを重んじた)本をなにか読んでください。か、もしくはせめて wikipedia(ゲーデルの不完全性定理 - Wikipedia)だけでも参照してください。斜め読みしましたがそんなに変なことは書いていないと思います。正直、日本語の本、特に啓蒙書はほとんど知らないので、何か良いものがあったら教えてください。
おまけにすごいのは、自分自身で「その詳細は、難しくてぼくもよく理解できないのだけれど」と断っていることです。詳細を理解していないものに対して、あそこまで非標準的な解釈をして、あまつさえ人を罵倒してキングオブうすらバカ呼ばわりする根拠にしたわけですか。

http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20081015/1224056847

世界が矛盾していることが分かれば、議論など全くの無意味だということが分かるだろう。必要なのは正しいか誤りかという答だけであって、あるいはそうした結論を出すこと自体を意味のないものとして諦めるかだ。だから、ぼくは議論をしないのである。

自分の名前を引き合いに出された話の結論がこれではゲーデルは浮かばれませんな。

http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20081116/1226812949

結局遠くから吠えていてもそれは負けだということ。

これ、私のことかなぁ。勝ち負けの問題でもなければ、id:aurelianoさんの考えを問題にしているわけでもなく、誤解する人が少なくなるといいなぁと思っているだけなのですが。

*1:ですので、この人の議論には「ゲーデル不完全性定理ステートメントからはそういう結論は出てこない」という反論では不十分になります。ルビンの壷、らしいですから。