続きというか思い出話

強制法の二つの見方 - くるるの数学ノートの続きというか。

私の指導教諭が集合論の授業で強制法の導入についてこんなことを言っていたを思い出します。

連続体仮説の否定がZFCと整合的であることを示すことを考えよう。コンパクト性定理があるから、ZFCの任意有限個の公理と連続体仮説の否定が整合的であることがいえればいい。ZFCの任意有限個の公理はL_\gamma(γは可算順序数)の形の集合で満たされている。L_\gammaの中では\aleph_1は可算だが、外側には非可算個の実数がある。だから、外側にある実数をたくさん付け加えてやれば連続体仮説を否定するモデルができるはずだ。
なぜこれが上手くいかないかというと、付け加えた実数によりL_\gammaの構造がひどく破壊されてしまうからだ。だから、より非破壊的な方法で付け加えてやる必要がある。そして、L_\gammaから拡大されたモデルのことがある程度わかるならば、その拡大はあまり破壊的でなくなるのではないか。それを体現したのが強制法である。

あ、歴史的にこれが強制法を生み出すアイデアだったかは知りませんし、指導教諭もそうは言っていませんでした。歴史的には正しくないけれども現時点での知識から見て自然な導入というのをよくやる人なので。いずれにしても、いろんな意味で実戦的な発想だと思いますし、この人について勉強することになってよかったなと思った瞬間でした。
というわけで、強制関係がジェネリック拡大ときれいな対応をなすことこそが、強制法の基礎付けの肝になるわけですね。