プロポーザルの書き方に関する(mt)^2さんのコメントについて

書いていたら死ぬほど長くなっていったのでエントリにしました。プロポーザルの書き方に関して - くるるの数学ノートについていたコメントの話。

プロポーザルに関しては「専門家の細かいアラさがし」という可能性は排除して構わないと思いますよ。

http://d.hatena.ne.jp/kururu_goedel/20100330/1269921332#c1270108848

これは応募するグラントの種類(というか審査のやり方)によると思います。グラントによってはそのとおりだと思いますし、本当に厳密に言うと間違いな部分のあるプロポーザルを学内の競争的グラントに提出したこともあります。
ですが、そうとは限らないだろうと。例えばNational Science Foundationは少人数(たしか3-5人、私の場合には常に3人だったはず)の専門家によるレビューをもとに、パネルが話しあって順位とともに"受理を推奨", "お金があるなら", "却下"の三種類に分けていく形になっています。ここでの専門家は、レポートを見ると明らかに私の研究をよくわかっている人です。ついでにいうと、いつも集合論集合論位相幾何学の人が両方入っています。そのくらいきっちりと私の研究を判断出来る人達を選んできているということです。そして、パネルのレポートを読むと彼らのレポートが確かに反映されていることがわかります。それより上でどういう判断がされているかはわかりませんが、多分このパネルレポートに基づいて決めているであろうと思われます。
また、私がレビューアをやったヨーロッパ某国の国家機関のやつですと、レビューアをやると返事をするとプロポーザルが送られてきて、いろいろなことについて意見を書かされます。もちろんその項目には、研究課題が適切であるか、先行研究は抑えられているか、研究計画は実現可能なものであるかなどというものが入っています。
いや、仮に上の人たちの判断が専門家の意見に基づいていないとしてもですよ?大先輩たちが時間を割いて読んでくださるものを、どうせ細部なんてfundされるかどうかに関係ないやとか言って適当に書けますか?

ついでなので一つ書き忘れたことを。あなたが30年間その分野にいたベテランで、いい仕事をし始めている若い研究者がいてなんとかグラントをとらせてやりたいなと思っているときに、その人のプロポーザルのレビューにあたってみたらとてもじゃないけど上の人たちを説得できないようなものだったらどう思います?そんなこと自分がレビューアになるまで全然思いもしなかったんですが(だめじゃん)、その時にレビューアとしてできることなんて限られているのでとても歯がゆいですよね。自分の為に努力するだけでなく、先輩方のためにも出来る限りできちんとしたものを作ることを考えてください。……と5,6年前までの自分に言いたいですね。学振の申請とかもう恥ずかしくて涙が出ます(あれは本当の専門家によるレビューはめったに付かないのか、いずれにしても)。

なんかまだ自分がしっかりしていないのにじじくさいことばかり書いて恐縮なのですが。まあ、私のように気づくのが遅くてあとから顔から火が出るような思いをしなくて良い人が増えればなと思います。