世界一適当な連続体仮説の整合性証明

宿題にしてから5ヶ月くらい経つのでぶっちゃけて書きます。
V=Lを仮定します。このときに、condensation lemmaと呼ばれる以下の事実を認めておきます:「任意の基数κとL_\kappaの初等的部分モデルMに対して、Mの推移崩壊はある順序数γに対してL_\gammaの形になっている」*1
|L_{\omega_1}|=\aleph_1は簡単に示せます。というわけで、P(\omega)\subseteq L_{\omega_1}が示せれば十分です。
xをωの部分集合とします。V=Lを仮定しているので、十分大きな基数κをとればx\in L_\kappaとなります。Mをxを元として含むようなL_\kappaの可算初等的部分モデルとします。condensationより順序数γが存在して、L_\gammaがMの推移崩壊と一致します。collapsing mapをπと書くことにします。このとき、\omega\subseteq L_\gammaなので、\pi(x)=xということがいえます。というわけで、x\in L_\gammaとなります。Mが可算なのでγも可算になりますので、x\in L_\gamma\subseteq L_{\omega_1}となります。これが全てのωの部分集合についていえるので、P(\omega)\subseteq L_{\omega_1}が言えました。

要するに、V=Lを仮定すると、ものすごく大きい基数や集合を使って定義されるようなものであっても、定義されたもののサイズさえ小さければ、たいした複雑さを持っていないということになります。こういう方向にモデルを規定するような仮定のことをanti large cardinal axiom(反巨大基数公理?)と呼ぶこともあります。そうした現象を表現するときに、不必要な情報をばさっと削ってしまう推移崩壊はとても便利です。

*1:これは一番弱い形のcondensationで、fine structureとかやるともっと強いことがいえます。