3時間でわかった気になる強制法(その1-2)

てなさくさんの指摘を受けて、以下の部分を大きく修正します。
細かいことは気にしないことにして、Con(ZFC+Con(ZFC) )を仮定することにします。すなわちZFC+Con(ZFC)のモデルVが存在します。どうやって、これをCon(ZFC)、すなわちZFCの無矛盾性のみから開始できるようにするかはまたあとで書きます。
V上でCon(ZFC)が成り立っているので、Lowenheim-Skolemの定理により、V上でZFCのモデルになるような集合Mで可算無限濃度をもつようなものが存在します。推移崩壊というのをやると、ZFCのモデルになるような集合Nで可算無限濃度をもち(ここまでMの条件と一緒)、さらに推移的になるようなものが存在します。推移的というのは、x\in yかつy\in Nならばx\in Nが成り立つということ。
細かいことは気にしないことにして、ZFCの標準モデルになるような元MをもつようなZFCのモデルVが存在していることを仮定します。推移崩壊というのをやると、ZFCのモデルになるような集合Nで可算無限濃度をもち(ここまでMの条件と一緒)、さらに推移的になるようなものが存在します。推移的というのは、x\in yかつy\in Nならばx\in Nが成り立つということ。
推移的という性質は真面目に書いておいた方がよさそうですね。例えば、MをVの中の可算無限集合で、ZFCを満たすようなものとします。MはZFCのモデルなので、ZFCから存在が証明できるようなものはすべて存在します。空集合とかωとか実数全体の集合とか\omega_1とか。ただし、例えばM上での\omega_1とV上での\omega_1は異なるかもしれないんですよ。
\omega_1というのは、非可算になるような最小の順序数ですね。非可算であるというのは、ωからの全射が存在しないということです。だから、M上での\omega_1、よく(\omega_1)^Mと書きますが、にはωからの全射がM上では存在しません。M上では。しかしながら、Vの方を見渡してみるとωからの全射が存在しているかもしれないわけですよ。
例えが悪いかもしれませんが。「一番の金持ち」と言ったときに、それが「日本の中で」の場合と「世界全部で」の場合では違うでしょうということです。日本一の大金持ち(誰なのか知りませんが)は、その人よりお金を持った人がいないという性質を日本というモデルの中では持っていますが、世界中で考えるとまあ多分Warren Buffetとかが反例になっているでしょう、みたいな感じで。
でも、Mが可算集合であったとしても、(\omega_1)^M\omega_1と一致しちゃうこともあるんですよ。しちゃうこともあるというか、かなり多くのシチュエーションでそうなります。その場合には、(\omega_1)^Mは非可算個の元を持っているわけなので、Mの元はほとんど(可算個を除くと)Mには入っていないんです。だから、Mの中ではそれらの元は見えてこない。スカスカなんです。
スカスカの方が良い場合もあるんですけど、そういう上げ底みたいなのを避けたい場合もあるわけです。今回は後者なのです。そして、推移崩壊というのは、推移的でない集合に対してそれと同型な推移的な集合をとる操作です。詳細は本質的でないので省略。

さてと、そんなわけでZFCのモデルV上に、推移的で可算無限濃度をもちZFCのモデルになるような集合Nが存在する、というところまで来ました。こいつを使って連続体仮説を否定してやりましょう、というところで次。